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うちら富山型デイサービスやちゃ!ブログ
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「立ち上がる女性」北日本新聞より

北日本新聞さんに掲載されました。

 

 

「立ち上がる女性」富山型デイ

 

■理想の場所を求めて

4月初め、富山市の稲荷公園のサクラは例年より早く満開を迎えていた。

青空に映えるソメイヨシノの下で、富山型デイサービス施設「にぎやか」(富山市綾田町)の理事長、阪井由佳子さん(49)や利用者たちが花見をしていた。車いすの高齢者、精神障害のある若者たちが輪になり、飲食を楽しむ。笑い声が何度も響いた。

高齢者や障害者、子どもが一つ屋根の下で同じ時間を過ごす。富山型デイは年齢や障害の有無を問わず人々を受け入れる施設だ。

生みの親は、看護師だった惣万佳代子さん(66)ら。入院する高齢者が望んでも自宅に帰れず亡くなる姿を見て、「最期の場面で泣いているお年寄りを何とかしたい」と思ったのがきっかけだ。高齢者に限らず、支援の必要な人を誰でも受け入れようと、1993年、同市富岡町に「このゆびとーまれ」を開いた。

その後の道のりは平たんではなかった。担当が高齢者、障害者、子どもにそれぞれ分かれた縦割り行政の壁、国の介護制度変更にたびたび苦悩した。役所の対応に納得できず、何度も足を運び、声を荒らげ、涙を流した。それでも時代の流れに対応しながら、理想のケアを追い求めた。規制緩和も進み、富山型のような共生型施設は全国に拡大。県のまとめでは、昨年3月末時点で1731カ所に上る。

こうした富山型デイの軌跡は、大正時代に起きた米騒動と重なる部分がある。ともに富山の女性が意を決して立ち上がり、社会を動かした。

惣万さんは10年余り前、日本社会福祉学会長を長く務めた社会福祉学者、一番ケ瀬康子さん(故人)に共通点を初めて指摘されたという。「米騒動を起こした女性を『すごい』と思っていたから、光栄やったね」と振り返る。

富山型デイをモデルとし、国は4月から介護保険制度などに「共生型サービス」を導入。高齢者と障害者が同じ施設でサービスをさらに受けやすくなった。惣万さんたちの理念は広がり続けている。

富山型デイの中で古株といえる「にぎやか」は、阪井さんが97年に開業した。元は老人保健施設の理学療法士。20代の頃、「このゆび」に子どもを預けたのを機に富山型デイと出合った。その理念に引かれ、惣万さんの後に続いた。

お年寄りも障害者もスタッフも一緒に食事し、昼寝もする。みんなで家族のように過ごす時間は充実していた。

2000年の介護保険制度導入が転機になった。収入が増え経営は安定する一方、阪井さんは介護が“仕事”になっていくのを感じ、人々が支え合うという富山型デイの原点が失われていく気がした。事業のためにお年寄りを集めているような気持ちにもなり、「誰のための施設なのか」と思い悩んだ。

昨年11月、開設20年の節目に休業した。このまま施設を閉じることも考えた時に、「にぎやか」に10年以上通う精神障害のある女性の妊娠が分かった。生まれてくる子どものように、居場所が必要な人は、やはりいる。今年3月末に再開した。

阪井さんは「みんなで向き合い、過ごす時間を少しずつ取り戻したい」と話す。開業した頃のような「本当の共生」がある場所を目指し、もう一度歩み始めた。


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